2018年4月 らんちゅうの育成

今月のはじめ、山田芳人さんかららんちゅうの卵の入った荷物が到着しました。

卵は、黒いネットに付着した状態で水の入った袋に入っていました。

後日、山田芳人さんから電話があり、この卵は4月5日に産卵したものとのことでした。
卵は、4〜5日後には無事孵化しました。

いつものように、孵化するまで卵は小型のガラス水槽で管理していましたが、1週間もしないうちに小さなプラ舟に引っ越しすることになりました。思ったよりも孵化した稚魚の数が多かったのです。

こちらが現在の稚魚たちのようすです。水換えのために洗面器に入れたところを撮影しました。

上の画像の稚魚を拡大してみたところです。こうしてみると、すでに尾が開いてきていることがわかります。そろそろ選別をしないといけない頃です。

明け二歳魚たちも、最近少し卵を産んだようです。

背中に小さな赤い点のある白い個体がメス、他の3匹はオスのようです。メスがオスに追われていたのでメスのお腹を押して確認しましたが、卵はあまり出てきませんでした。
あまり激しくオスがメスを追うようになると、メスがケガするのを避けるため飼育容器を分けなくてはなりませんが、今のところその必要はなさそうです。


2018年3月 らんちゅうの育成

3月に入ってから、昼間は暖かくなる日が多くなりました。先月まで寒かった分、よけいにそう感じるのかもしれません。
ところで、以前にもお話したかもしれませんが、弊社のらんちゅう飼育場所は直接日光があたらないところにあるので、気温が上がらないと水温も上がりません。よく言えば水温変化が少ない場所、ということになるでしょうか。
そんな場所でも最近はだいぶ水温があがるようになり、らんちゅうたちもよく泳ぐようになってきました。それに伴いエサをよく食べるようになってきたので、冷凍アカムシだけでなく人工飼料も与え始めました。

この日の水温は12℃弱。気温は16.5℃です。ちなみにこの水温計の日付と時間はきちんとセットしていないので、実際とは異なります。

この日の名古屋城のようすです。サクラが満開ちかくになってきています。開花も例年より早めだったようです。

人工飼料を与えるようになると水の汚れが早くなってきます。この飼育容器の水は撮影の前日に換えたばかりですが、もう結構汚れが目立ちはじめています。

ずっと食べていて慣れているからかもしれませんが、弊社のらんちゅうたちは空腹になると水面にあがってきてエサを探して口をパクパクさせます。なので、エサを与えるとこのようにすぐ水面に集まってきてエサを食べ始めます。

よく食べるからといってエサをあまりたくさん与えすぎると、まだ本調子ではない内臓に負担がかかり、調子を悪くしてしまうかもしれません。この時期はなるべく与えすぎないよう注意が必要です。とくに、この四歳魚たちは、昨年の水温の高い時期でもエサを与えすぎると調子を崩しやすかったので、他のらんちゅうたちよりも気をつかいます。

四歳魚たちといっしょに泳ぐこの三歳魚は、弊社内で採卵して育成した唯一のらんちゅうです。じつは昨年も採卵はしたのですが、孵化しませんでした。

今年、もし卵を産んで1000匹くらい孵化したら、その時は育成しようかと考えています。


2018年2月 らんちゅうの育成

1〜2月にかけては、例年よりも気温が低いと感じる日が多かったような気がします。弊社のらんちゅう飼育場所では飼育水が凍るようなことはありませんでしたが、それでも水温が0℃という日はけっこうありました。

水温の低い冬の間は、水換えはしないというのが一般的ですが、今シーズンは試験的に水換えをすることにしました。こちらは、昨年の当歳魚、明け二歳魚たちの現在のようすです。洗面器の数が足りないので、水換えのときはいつもこのプラスティックのコンテナに入れています。

この日の水温は6℃弱。気温は8℃弱です。

らんちゅうを飼育している容器の水を抜いたあとのようすです。ごらんのように容器の内側にコケはほとんどついていません。もちろん水は透明なままです。容器の底にはらんちゅうのフンがあります。じつは、少量ずつですが冷凍アカムシと人工飼料は毎日与えています。なので、このようにけっこうフンをしているのです。

コンテナに入れた明け二歳魚を洗面器に入れて撮影してみました。こうしてみると青水の中にいたわけでもないのに、意外と赤色の濃さを維持しています。ずっとエサを与えていたからでしょうか。

こちらは明け三歳魚たちです。水換えのときには、他の魚が洗面器に入っていたため、洗面器に入れて撮影した写真はありません。こちらもやせずきることもなくなかなか良い感じです。むしろ、肉が付きすぎて繁殖に影響が出ることになるのかもしれません。

昨年の夏に体調を崩して体色が変わってしまったこの個体も元気にしています。しかし、尾の張りがかなり弱くなってしまって格好が悪いのであえてこの角度からの撮影です。

明け二歳魚、三歳魚、四歳魚とも、これまでとくに体調を崩したりすることはありませんでした。このあと、春の繁殖がうまくいけば、こうした冬の管理(青水ではない飼育水で少量ずつの餌やり)でも問題はないのかもしれません。その結果は、また本ブログでご紹介したいと思います。


2017年10月 当歳らんちゅうの育成

山田芳人さんが会長を務める尾張優魚会の大会は毎年9月に開催されますが、今年は台風の接近により延期となってしまいました。本ブログでは、その品評会のようすをお伝えするつもりだったのですが、そちらはまた改めてご紹介させていただくこととし、今月も当歳魚たちのようすをお伝えすることにします。なお、尾張優魚会の大会は11月に開催されるとのことです

こちらは、9月23日に撮影した当歳魚たちです。
今年は、体色のことを考えて飼育容器(プラ舟)に付着したコケはあえて残して飼育してきました。ただ、コケとはいっても緑色をした感じのよいものではなく、熱帯魚の世界ではもっとも嫌われる「藍藻」のようなものです。この「コケのようなもの」に色揚げ効果はほぼないと思われますが、飼育容器の薄い水色のままよりかは色が濃くなっているような、いないような…

そして、こちらは10月7日撮影の当歳魚たちのようすです。

本ブログでご紹介するのは今回が初めてですが、今年は素赤が1匹残りました。この個体は、完全な四つ尾ではなく、深く切れ込んだ「サクラ尾」といった感じです。

こちらは、一番尾型のよい個体ですが、背成りはあまりよくありません。泳ぎもあまり上手ではなく、何より体がなかなか大きくなりません。

こちらは、上の個体の倍とまではいきませんが、けっこう大きく成長している個体です。たぶん二歳になってからも成長するタイプなのでしょう。ただ、尾はあまりよくありません。

久しぶりに二歳魚も撮影してみました。
こんな色の悪い魚、いたっけ? と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

じつは、この上の魚を6月頃に撮影したのが下の写真です。
夏の暑い時期、水換えが遅れて体調を崩し、こんな姿になってしまいました。体調を崩したときはもうぜったい助からない、と思ったほどの重症でした。全身充血し、肉瘤はほとんどなくなってしまったように縮んでいましたが、なんとかここまで持ち直しました。

この二歳魚といっしょにいたこの親魚も、体調はそれほど悪くなっていなさそうでしたが、色はかなりあせてしまいました。

色は悪くなりましたが、肉瘤はさらにボリューム感が出てきました。

上の個体の昨年のようすです。色がやはり全然ちがいますね。

こちらの親魚も今回いっしょに撮影しました。
体後半はご覧いただけるような状況ではありませんので、頭のみの撮影です。
こうして見てみるとなかなかよい感じの頭です。

こんな感じでちょっと横から見てみると、目も肉瘤で塞がることなく一応見えていることがわかります。

こちらの二歳魚は、無事に成長しています。あまり体が大きくなるようなタイプではないと思っていたのですが、意外と大きくなってきています。

10月最初の日曜日、錦友会・中部本部大会を見に浜松へ行ってきましたので、少しだけご紹介いたします。

こちらは、「親魚の部」の東大関を獲得した魚です。

そして、こちらが山田芳人さんが出品された当歳魚です。


2017年9月 当歳らんちゅうの育成

今月の当歳魚たちのようすをお伝えします。
今月始めに山田芳人さんの飼育池を訪問した際、これまで本ブログでご紹介してきた当歳魚の兄弟魚たちが倍くらいのサイズに育っているのを見て、改めて山田芳人さんとの育成技術の(大きな)違いを実感しました。それに加えて、山田芳人さんの育成魚との決定的な相違点は、体や尾びれの「つくり」です。肉瘤の発達具合はともかく、遺伝的にはまったく同じ兄弟魚なのに「つくり」がこれだけ違っているとなると、やはり現在の飼育方法そのものを見直さざるを得ないでしょう。ただ、飼育容器の大きさはスペースの都合で変えることができませんので、何ができるのかこれから来春に向けて考えていきたいと思っています。

8月26日の当歳魚たちのようすです。ちょっと前に撮影したばかりですが、今見るとみんな体の線がまだ細く感じられます。



9月2日の当歳魚たちのようすです。100円硬貨を入れるのを忘れて撮影してしまいました。この日の写真は2点だけです。

そして、現時点で最新の9月9日の当歳魚たちのようすです。サイズは大きくなってきていますが、写真でみると前の週に撮影した当歳魚とあまり違いが感じられません。