2020年3月 らんちゅうの育成

3月も後半になり、最低水温も10度前後の日が増えてきました。冬は暖かったのに、意外にも名古屋の桜の開花日は昨年とそれほど違いはありませんでした。
昼間の気温は20度くらいになる日もありますが、弊社のらんちゅう飼育場所は日光がほとんどあたらないため、思ったほど水温はあがりません。それでも、らんちゅうたちはよく泳ぐようになってきています。

昨年4月に山田芳人さんからいただいた卵から4月18日に孵化した個体の今月のようすです。まだ底水温時にあらわれる体色の黒化は見られます。もう少し水温が上がってこないと完全には消えないかもしれません。

昨年5月29日生まれの明け二歳魚の現在のようすです。

6匹いる明け二歳魚の中で、一番雰囲気が違っているのがこの個体です。頭の感じはそうでもありませんが、メス親の姿に一番近いのはこの個体かもしれません。メス親は尾が柔らかくて、腰もあまりきれいではありませんでした。この個体は、そのメス親より尾は張っていますが、どちらかというと柔らかい方です。6匹の中では一番大きく育ってくるのではないかと思っています。

前回もご紹介した白の個体です。顔が少し出てきた感じがします。腹がついてから全体的にねじれるようなクセが見られるようになったので、あまりエサを多く与えないほうが良いのかもしれません。

こちらは、以前にも何度かご紹介している上の画像のらんちゅうたちのオス親魚です。白のメス親魚の方は、冬の間に腹がくぼんだようになり、今までのようには泳げなくなってしまいました。


2020年1月 らんちゅうの育成

今年の冬は、いつもの年とはちがいかなり気温が高い日が多いようです。
今シーズン、弊社のらんちゅう飼育場所のもっとも低かった水温は5度くらいで、ほとんどの日は一日で一番水温の低くなる朝でも7〜8度くらいはあります。そして昼頃になると10度を超える日も少なくありません。このくらいの水温だとらんちゅうたちもエサを催促するように寄ってきますので、うっかり与えすぎないよう注意しています。

今回は昨年の5月29日生まれの明け二歳魚の現在のようすからご紹介します。
前回ご紹介したのはこの内の白の個体だけでしたが、じつはご覧のとおり全部で6匹います。

こちらが前回本ブログでご紹介した白の個体の現在のようすです。以前より少し尾びれの赤色が濃くなったかもしれません。サイズも少し大きくなっているような気がします。あまり餌を食べていない時期でも、多少は大きくなるのでしょうか。

上の白の個体と似た雰囲気を持つのがこちらの更紗の個体です。ただ、こちらの個体は背腰に難があります。尾はオス親に似ていると思います。

こちらの個体は、ちょっと長い体型をしています。この個体は頭近くの背のあたりの鱗の並びが乱れています。この腹の兄弟魚にはこのような鱗の乱れた個体が多数見られました。鱗の乱れは遺伝するようですが、オスメス両親とも鱗の乱れはなく、その兄弟魚たちにもそのような個体は見られませんでした。

最後は、昨年4月に山田芳人さんからいただいた卵から4月18日に孵化した個体の今月のようすです。この個体だけ、底水温時にあらわれる体色の黒化が見られました。他の個体にはまったく見られないのに不思議です。ちょっと体色が濃くなったようです。


2019年11月 らんちゅうの育成

今年も盛況だった11月3日の全国大会も終わり、らんちゅう飼育もこれからしばらくは休みの時期に入ります。
今年は夏から秋にかけて、全国各地で自然災害が多く発生しました。なんでも地球温暖化の影響で災害の規模は年々大きくなってきているのだとか。これ以上被害が大きくなることがないよう祈るばかりです。

さて、今年4月に山田芳人さんからいただいた卵から4月18日に孵化した当歳魚の今月のようすです。
8月の本ブログでは、「今年はどうやらこの二匹が最後まで残りそうです。」とお伝えしましたが、結局最終的には下の素赤の個体一匹だけになりました。あいかわらず、ちょっと寸詰まり気味で尾は傾いて付いていますが、頭・フンタンの具合はなかなか良い感じになりました。小さい時期からの「片腹」もあいかわらずです。

今回は、この素赤の個体の成長のようすをご覧いただきたいと思います。
まずは、5月26日(ふ化後38日)のようすからです。すでに、この時点で尾は傾いた感じですが、この1匹だけ他の魚とは少し雰囲気がちがっていました。写真では実際のサイズがイメージしにくいのですが、この時期はまだかなり小さく、画面上で画像を拡大して見るほうが細部までよくわかります。

6月30日(ふ化後72日)のようすです。
そろそろ色が変わり始めるかな、という頃です。頭が角張り、少しらんちゅうらしくなってきました。鱗がはっきりし、きれいに並んでいるのがわかります。

7月7日(ふ化後79日)のようすです。
上の写真の撮影から一週間しか経っていませんので、体型的にはあまり違いはありませんが、色がほぼ変わり終えています。

7月20日(ふ化後92日)のようすです。
体色は素赤になりました。これまで弊社で育成してきたらんちゅうの中では、素赤の出現はどちらかというと少ない方です。

8月19日(121日)のようすです。
肉瘤が発達してきて、巾も出てきました。この頃はからフンタンの発達が目立つようになってきました。

9月16日(148日)のようすです。
腰から尾びれの付け根にかけての部分の巾が出てきました。体色は少し濃くなったかな? という程度で、あまり変化はありません。

10月20日(ふ化後182日)のようすです。
写真では、そこそこ「秋の当歳魚」らしく見えますが、実際にはこの時点でまだ9月上旬くらいのサイズです。今年は例年よりエサやりを少し弱めにしてきました。そうしたこともあって小さめですが、成長不良というほどではないと思っています。

こちらは、これまで本ブログでこれまでご紹介したことはなかった当歳魚です。
弊社内で5月26日に採卵、5月29日にふ化しました。3000匹くらいふ化したと思いますが、それらしく育ったのはこの1匹のみでした。こうしてみると、オス親からの影響が大きいようで、頭は小さく瘤の出具合は弱め、尾の張りは強めです。背のラインは意外ときれいで、梶ビレは2枚揃っています。色が素赤で、頭がもう少し出てたらよかったのですが…

上の白の当歳魚のオス親です。尾型はしっかりしているのですが、頭が小さく、その上肉瘤の出具合がとても弱いので親としてどうかなと思いましたが、これしか使えるオスはいませんでした。

そして、こちらがメス親です。全身白になってしまっていますが、当歳の頃は更紗でした。頭の発達はとてもよいのですが、尾はオスとは真逆でとても弱いので頭部分のアップをとらえた写真を使用しています。


2019年9月 らんちゅうの育成

8月後半あたりから、ようやく少し気温が下がり始めました。しかし、少し前に梅雨明けがあったばかりなのに、また梅雨のときのような雨の多いうっとうしい日々が続いています。

8月に入ってから温度が高いせいなのか、二歳魚たちの色抜けが一気に進みました。7月にご紹介したこちらのオス個体はほぼ白色になってしまいました。

上の画像の個体は、6月頃はまだこんな「赤いらんちゅう」でした。

もし品評会への出展を目指していたら、色抜けはかなりのダメージです。色が白いと印象がまたっくちがったものになってきます。
別のオスの二歳魚の方も、白にはなっていませんがだいぶ色が褪めてきました。

上の画像の個体も、7月頃はこんな感じで今よりも濃い赤色をしていました。

色褪せも気になりますが、体が大きくならないのはもっと気になります。同じように飼育していても同腹のメスの二歳魚はどんどん大きくなっていきます。ところがオスは、色変わりしない黒の個体をのぞいてあまり大きくならないのです。最近、冷凍アカムシをまた与えるようにしているのですが、粒エサもアカムシもメスと食べる量が比べるとかなり少なめです。

4月に山田芳人さんからいただいた卵から4月18日に孵化した当歳魚たちの今月のようすです。
今年はどうやらこの二匹が最後まで残りそうです。素赤の個体は、ちょっと寸詰まり気味で尾が傾いて付いていますが、頭・フンタンは良い感じです。更紗の個体の方がクセが少なく素赤の個体より無難な感じはしますが、なんとなく欠点の多い素赤の個体の方が好みです。

ここからは親魚たちの食事のようすです。
与えているのはこちら、弊社製品「特選金魚の餌 星更紗 小粒」です。

まずは二歳のメス魚です。
この個体もオスの二歳魚たち同様、赤色が褪めてしまいましたが、体調はとても良く、体がどんどん大きくなっています。

この個体はとにかくよくエサを食べます。

こちらの黒のオスの二歳魚は、頭に赤が出てきましたが、それ以外はあまり変化がありません。腹はまったくつかず極端にほっそりしたままなので、まるで中国産の金魚のような印象です。

こちらも二歳のメス魚です。フンタンがもっとも発達しているのがこの個体です。体も二歳魚のメスの中ではもっとも大きく育っています。

こちらは三歳魚です。性別は不明です。今年は、産卵しているところも、メスを追いかけているところも見ていません。なぜか、この個体は赤色が褪せませんでした。

最後は四歳のオス魚です。この個体は体を大きく育てることができました。体の色は当歳の時から白でした。


2019年7月 らんちゅうの育成3

7月下旬になってようやく梅雨があけました。足もとが雨で濡れないのは良いのですが、梅雨があけても湿度は高いままです。その上、晴れて気温があがるので不快感はむしろ梅雨のとき以上かもしれません。

さて今回は、4月に山田芳人さんからいただいた卵から4月18日に孵化した当歳魚たちのようすからご覧いただきましょう。
ある日の夕方、エサを食べているわけでもないのに当歳魚たちの呼吸が早いので、急遽飼育水を換えることにしました。すると少し水温が下がったこともあるかもしれませんが、すぐ呼吸はいつもの安定した状態に戻りました。もし水換えをせず、そのまま翌日まで呼吸の早いままにしていたら、当歳魚たちは具合が悪くなっていたかもしれません。水温が高い時期は水質の悪化が早いので注意が必要です。

ここからは二歳魚たちのようすです。
こちらは6月中旬にご紹介した個体で、画像もその時のものです。

その後、どんどん赤色は飛んでいき、1か月後の7月中旬はこんなに白の面積が増えてしまいました。

さらに、その1週後に撮影したのがこちらの画像です。たったの7日でますます白っぽくなっています。頭のすぐ後ろあたりの赤い鱗の変化をご覧いただくとわかりやすいと思います。このペースだと、もう少ししたらほとんど白になってしまうかもしれません。

上の個体といっしょの飼育容器で飼育中のこちらの個体は、とくに色がさめていくようすはみられません。

こちらの黒のオスの二歳魚は、ここまできて今さら色が変わらなくても良いのに、ついに頭の一部にオレンジ色があらわれ始めてしまいました。