2018年5月 らんちゅうの育成

4月10日頃に孵化した稚魚たちの今月のようすをご紹介します。

孵化後18日の水換え時の稚魚たちです。数は1200匹です。
ガラス水槽で孵化したばかりの稚魚を見たときは、「数百匹くらいかな」と思っていましたが、実際にはぜんぜんちがっていて、2000匹以上孵化していました。前回のブログでは、「そろそろ選別をしなくては…」というところまででしたが、数が多いため稚魚が育ってくるとすぐに飼育容器は窮屈な状態になってしまいました。



1回目の選別では、軽くフナ尾や開きの悪い尾の魚を外しました。しかし、これでは数があまり減らないので、三つ尾とわかるものも外してとにかく数を少なくすることにしました。

孵化後32日の水換え時の稚魚たちです。数は650匹です。
この日、稚魚たちの飼育水はすべて新しい水に交換したのですが、この日を境に稚魚たちのようすがおかしくなってしまいました。

じつは、らんちゅうではありませんが同じ日に他の品種の金魚の稚魚の全換水も行ったのですが、こちらは翌日からポツポツと死んでいくようになり、さらに数日後には半数近くまで減ってしまうという事件がありました。水換えをするまではとくに問題なく成長を続けていたので、これは明らかに水換えしたことが原因です。今回の場合、古い飼育水を新しい水で割って使用するのが「正解」だったようです。昨年は、この時期の水換えをどのようにしていたのか、じつはあまりよく覚えていません。もしかすると、孵化後60日くらいまでは古い飼育水を割って使用していたのかもしれません。
らんちゅうたちは死魚こそ出ませんでしたが、調子が悪く体はなかなか大きくならなくなってしまいました。

孵化後47日の水換え時の稚魚たちのようすです。数は145匹です。
状態を悪くしてしまったこともあって、やはりあまり成長していません。
飼育水にはブラインシュリンプの卵の殻が浮いていたり、汚れが目立っているので全部新しい水に交換したいところですが、古い飼育水のゴミが入らないように取り出し、新しい水と割って使用することしました。

今回の選別では選別モレの三つ尾の個体や、切れ込みの少ない桜尾をはずすことにしました。写真の80匹の稚魚は150リットル容器に収容しています。

二歳魚がまた産卵しました。しかし、もう稚魚を収容するスペースはありませんので、今回は採卵しませんでした。


尾張優魚会 弐歳会

2018年5月20日(日曜日)、愛知県清須市にある「はるひ夢の森公園」において、山田芳人さんが会長をつとめる尾張優魚会の弐歳会が開催されました。
当日の朝はかなり冷え込み、水温は10℃くらいまで下がりました。しかし、昼頃には気温は22〜23℃くらいまで上がり、湿気の少ない過ごしやすい天気となりました。

審査前の会場のようすです。出品魚はまず洗面器に入れて、そこで点数が決められます。そして、点数の良いものから展示台の上に並べられていきます。


会長として参加者の皆さんに挨拶をする山田芳人さんです。

出品魚はハイレベルな魚が多かったようです。そんな中で今回の一番に選ばれたのはこの魚です。しっかり飼い込まれた魚で、この時期の二歳魚としてはかなり立派なサイズでした。秋の大会に出品されていても違和感がないほどの見応えのある魚です。

東大関 杉浦憲治(飯田) ※敬称略、以下同

西大関 高津晴彦(可児)

立行司 渡辺 敦(犬山)

東取締 櫻井敏郎(各務原)

西取締 山口 広隆(津)


2018年4月 らんちゅうの育成

今月のはじめ、山田芳人さんかららんちゅうの卵の入った荷物が到着しました。

卵は、黒いネットに付着した状態で水の入った袋に入っていました。

後日、山田芳人さんから電話があり、この卵は4月5日に産卵したものとのことでした。
卵は、4〜5日後には無事孵化しました。

いつものように、孵化するまで卵は小型のガラス水槽で管理していましたが、1週間もしないうちに小さなプラ舟に引っ越しすることになりました。思ったよりも孵化した稚魚の数が多かったのです。

こちらが現在の稚魚たちのようすです。水換えのために洗面器に入れたところを撮影しました。

上の画像の稚魚を拡大してみたところです。こうしてみると、すでに尾が開いてきていることがわかります。そろそろ選別をしないといけない頃です。

明け二歳魚たちも、最近少し卵を産んだようです。

背中に小さな赤い点のある白い個体がメス、他の3匹はオスのようです。メスがオスに追われていたのでメスのお腹を押して確認しましたが、卵はあまり出てきませんでした。
あまり激しくオスがメスを追うようになると、メスがケガするのを避けるため飼育容器を分けなくてはなりませんが、今のところその必要はなさそうです。


2018年3月 らんちゅうの育成

3月に入ってから、昼間は暖かくなる日が多くなりました。先月まで寒かった分、よけいにそう感じるのかもしれません。
ところで、以前にもお話したかもしれませんが、弊社のらんちゅう飼育場所は直接日光があたらないところにあるので、気温が上がらないと水温も上がりません。よく言えば水温変化が少ない場所、ということになるでしょうか。
そんな場所でも最近はだいぶ水温があがるようになり、らんちゅうたちもよく泳ぐようになってきました。それに伴いエサをよく食べるようになってきたので、冷凍アカムシだけでなく人工飼料も与え始めました。

この日の水温は12℃弱。気温は16.5℃です。ちなみにこの水温計の日付と時間はきちんとセットしていないので、実際とは異なります。

この日の名古屋城のようすです。サクラが満開ちかくになってきています。開花も例年より早めだったようです。

人工飼料を与えるようになると水の汚れが早くなってきます。この飼育容器の水は撮影の前日に換えたばかりですが、もう結構汚れが目立ちはじめています。

ずっと食べていて慣れているからかもしれませんが、弊社のらんちゅうたちは空腹になると水面にあがってきてエサを探して口をパクパクさせます。なので、エサを与えるとこのようにすぐ水面に集まってきてエサを食べ始めます。

よく食べるからといってエサをあまりたくさん与えすぎると、まだ本調子ではない内臓に負担がかかり、調子を悪くしてしまうかもしれません。この時期はなるべく与えすぎないよう注意が必要です。とくに、この四歳魚たちは、昨年の水温の高い時期でもエサを与えすぎると調子を崩しやすかったので、他のらんちゅうたちよりも気をつかいます。

四歳魚たちといっしょに泳ぐこの三歳魚は、弊社内で採卵して育成した唯一のらんちゅうです。じつは昨年も採卵はしたのですが、孵化しませんでした。

今年、もし卵を産んで1000匹くらい孵化したら、その時は育成しようかと考えています。


2018年2月 らんちゅうの育成

1〜2月にかけては、例年よりも気温が低いと感じる日が多かったような気がします。弊社のらんちゅう飼育場所では飼育水が凍るようなことはありませんでしたが、それでも水温が0℃という日はけっこうありました。

水温の低い冬の間は、水換えはしないというのが一般的ですが、今シーズンは試験的に水換えをすることにしました。こちらは、昨年の当歳魚、明け二歳魚たちの現在のようすです。洗面器の数が足りないので、水換えのときはいつもこのプラスティックのコンテナに入れています。

この日の水温は6℃弱。気温は8℃弱です。

らんちゅうを飼育している容器の水を抜いたあとのようすです。ごらんのように容器の内側にコケはほとんどついていません。もちろん水は透明なままです。容器の底にはらんちゅうのフンがあります。じつは、少量ずつですが冷凍アカムシと人工飼料は毎日与えています。なので、このようにけっこうフンをしているのです。

コンテナに入れた明け二歳魚を洗面器に入れて撮影してみました。こうしてみると青水の中にいたわけでもないのに、意外と赤色の濃さを維持しています。ずっとエサを与えていたからでしょうか。

こちらは明け三歳魚たちです。水換えのときには、他の魚が洗面器に入っていたため、洗面器に入れて撮影した写真はありません。こちらもやせずきることもなくなかなか良い感じです。むしろ、肉が付きすぎて繁殖に影響が出ることになるのかもしれません。

昨年の夏に体調を崩して体色が変わってしまったこの個体も元気にしています。しかし、尾の張りがかなり弱くなってしまって格好が悪いのであえてこの角度からの撮影です。

明け二歳魚、三歳魚、四歳魚とも、これまでとくに体調を崩したりすることはありませんでした。このあと、春の繁殖がうまくいけば、こうした冬の管理(青水ではない飼育水で少量ずつの餌やり)でも問題はないのかもしれません。その結果は、また本ブログでご紹介したいと思います。