2018年1月「尾張優魚会 交換会」

2018年1月21日、愛知県清須市はるひ美術館において、山田芳人さんが会長をつとめる尾張優魚会の交換会が行われました。

昨年は雪が降ったため延期して後日開催となりましたが、今年は朝から風のない暖かな晴天となりました。

この日も多数の魚が集まり、お昼休みをはさんで2回に分けて入札が行われました。

会場に持ち込まれた魚を分ける作業をする山田芳人さん。

人気の魚にはたくさんの入札を希望の意思を表す紙が浮かべられていました。

この洗面器の魚はこんな感じです。

他にも、こんな感じの良魚が多数出品されていました。

今回、会場でとくに注目されていたのはこちらの3匹の黒らんちゅう。先月、本ブログでご紹介した山田芳人さんの魚です。

このような漆黒のらんちゅうは初めて見る、という方も多かったようです。


2017年12月 山田芳人さんのらんちゅう飼育

12月23日、3か月ぶりに山田芳人さんの飼育池を訪問させていただきました。
今年の山田芳人さんは、卵がいつものように採れなかったこともあり、飼育池には通常サイズの当歳魚と、この時期にしては可愛いサイズの6〜7月生まれの当歳魚が泳いでいました。

撮影のためのらんちゅうを選ぶ山田芳人さん。その後ろに飾られているどこかで見たことのある大きならんちゅうのイラストは、じつは山田芳人さんが手書きしたものを元にしたものだとか。ちなみに、「特選金魚の餌 星更紗」のイメージモデルの更紗らんちゅうはもちろん山田芳人さんの東大関獲得魚ですが、これを撮影したのは金魚専門誌を多数出版しているピーシーズの森 文俊さんです。

以前にお邪魔した際にはなかった品評会のらんちゅうの額縁が壁に飾られていました。まだまだ並べきれないくらいたくさんあるそうですが、正月休みの間には整理したいとおっしゃっていました。額物がかかるこの壁の向こう側には、アロワナなどの熱帯魚の泳ぐ大きな水槽と未使用の大型バイクが置いてあります。先日、岐阜県内のあるお宅の納屋にずっと置かれたままになっていたイタリアの名車、フェラーリ・デイトナが海外のオークションにて2億3千万円で取引きされたことが話題になりました。山田芳人さんのこの大型バイクも未使用のままずっと良い状態のまま保管しておいたら、もしかすると2億は無理でも驚くような価格になるのかも?

それでは、今回も当歳魚を中心に撮影させていただきましたのでご覧ください。中には以前ご紹介した個体も含まれています。








山田芳人さんのメイン系統の中から、今年はこんな全身真っ黒な個体が生まれました。このような真っ黒な体色をした金魚は、日本ではデメキンくらいしか継続的な繁殖は行われていません。このらんちゅうのように当歳魚のうちは真っ黒な個体でも、たいていの場合は親になる頃には赤くなってしまうことが多いのです。ちなみに海外からは「黒ランチュウ」として毎年多くの「真っ黒ならんちゅう」が輸入されていますが、日本のらんちゅうとは体型や尾の感じがちがっています。


尾張優魚会 第二十三回らんちう品評大会

11月19日(日曜日)、愛知県清須市にある「はるひ夢の森公園」において、山田芳人さんが会長をつとめる尾張優魚会の品評会が開催されました。
今年は、9月頃から台風のため開催中止・延期となる品評会が多く、尾張優魚会の品評会も本来は9月に開催される予定でしたが延期となっていて、2か月後のこの日の開催となりました。
品評会の当日、朝9時頃は下の写真のように青空が見られたので、雨はもう大丈夫かと思ったのもつかの間。やはりしばらくすると雨が降ったりやんだりようになり、肌寒い一日となりました。


各会の代表の方々の真ん中でちょっと緊張気味(?)の山田芳人さん。集合写真全体をみられるようにすると、顔が小さくなってしまうので今回はあえて部分的に拡大させていただきました。全体が写った写真は、「日本らんちう協会」のホームページにてご覧いただけます。

今回も、いつもどおり各部門上位3尾ずつ山田芳人さんに解説していただきました。

親魚 東大関 榊原 英樹(武豊)※敬称略、以下同
迫力のあるボディで、尾形、頭、体形、鱗並び、泳ぎの良い魚で、特に、この日にこれだけの色艶で出品される飼育技術は流石ですね。今年の2歳魚日本一を、獲得された方の魚です。素晴らし過ぎる魚です。

親魚 西大関 植田 春寿(稲沢)
目幅、背幅、尾形と親魚の迫力十分な魚です。東大関も西大関も当才魚で勝負するには、柄で損をする魚。しかし、形抜群、親魚までしっかり作り上げた、素晴らしい魚です。

親魚 立行司 川口 功 (尾張)
尾張優魚会の仲間の魚ですが、二歳から活躍している魚で、総体的バランスのとれた魚です。配色も良く、尾張りがもう少しあれば逆転ありですね。素晴らしい魚です。

二歳魚 東大関 小山 徹志 (山梨)
頭、体形、尾形、泳ぎ、柄、抜群の魚です。長手の魚で、二歳の仕上がりとしては、最高な感じです。親魚で仕上がったら無敵な感じがします。この状態でまだまだ、発展途上中の魚。素晴らしい魚です。

二歳魚 西大関 松田 力三 (浜松)
総体的バランスのとれた魚で、泳ぎ上手く、尾形を魅せる魚。尾味のある、腹掛りの良い、素晴らしい魚です。

二歳魚 立行司 植田 春寿 (稲沢)
目幅、背幅、筒の太み、尾張りの良い魚で、バランスのとれた魚です。柄で損をしていますが、二歳、親で勝負と作られてきた魚だと思います。来年の楽しみな素晴らしい魚です。

当才魚大の部 東大関 小濱 照明 (三重)
筒白の大形の魚で、総体的バランスのとれた魚です。2歳、親となって行く姿を、是非見せてください。素晴らしい魚です。

当歳魚大の部 西大関 伊藤 孝広 (犬山)
体形、太み、バランス抜群の魚ですが、尾芯の柄が少し損した感じですね。将来性ありの素晴らしい魚です。

当歳魚大の部 立行司 川本 智祥 (愛媛)
愛知では見かけなくなった、味魚タイプ、玄人好みする魚です。私も作ってみたい素晴らしい魚です。

当歳魚小の部 東大関 鈴木 克己(静岡)
小の部でありながら、筒の太み、尾形、頭、バランス、魅了的な魚です。このまま二歳に仕上がると無敵な感じがしますね 素晴らしい魚です。

当歳魚小の部 西大関 小早川 義幸 (半田)
バランスの良い小綺麗な魚で、特に前がかりの効いた尾形は魅力的です。尾の柄で損をしていますが、それを打ち消す魅力のある素晴らしい魚です。

当歳魚小の部 立行司 竹内誠司 (愛媛)
綺麗な素赤の魚で、総体的バランスのとれた魚。尾形は抜群、血筋と飼育技術がマッチした玄人好みする、素晴らしい魚です。


2017年10月 当歳らんちゅうの育成

山田芳人さんが会長を務める尾張優魚会の大会は毎年9月に開催されますが、今年は台風の接近により延期となってしまいました。本ブログでは、その品評会のようすをお伝えするつもりだったのですが、そちらはまた改めてご紹介させていただくこととし、今月も当歳魚たちのようすをお伝えすることにします。なお、尾張優魚会の大会は11月に開催されるとのことです

こちらは、9月23日に撮影した当歳魚たちです。
今年は、体色のことを考えて飼育容器(プラ舟)に付着したコケはあえて残して飼育してきました。ただ、コケとはいっても緑色をした感じのよいものではなく、熱帯魚の世界ではもっとも嫌われる「藍藻」のようなものです。この「コケのようなもの」に色揚げ効果はほぼないと思われますが、飼育容器の薄い水色のままよりかは色が濃くなっているような、いないような…

そして、こちらは10月7日撮影の当歳魚たちのようすです。

本ブログでご紹介するのは今回が初めてですが、今年は素赤が1匹残りました。この個体は、完全な四つ尾ではなく、深く切れ込んだ「サクラ尾」といった感じです。

こちらは、一番尾型のよい個体ですが、背成りはあまりよくありません。泳ぎもあまり上手ではなく、何より体がなかなか大きくなりません。

こちらは、上の個体の倍とまではいきませんが、けっこう大きく成長している個体です。たぶん二歳になってからも成長するタイプなのでしょう。ただ、尾はあまりよくありません。

久しぶりに二歳魚も撮影してみました。
こんな色の悪い魚、いたっけ? と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

じつは、この上の魚を6月頃に撮影したのが下の写真です。
夏の暑い時期、水換えが遅れて体調を崩し、こんな姿になってしまいました。体調を崩したときはもうぜったい助からない、と思ったほどの重症でした。全身充血し、肉瘤はほとんどなくなってしまったように縮んでいましたが、なんとかここまで持ち直しました。

この二歳魚といっしょにいたこの親魚も、体調はそれほど悪くなっていなさそうでしたが、色はかなりあせてしまいました。

色は悪くなりましたが、肉瘤はさらにボリューム感が出てきました。

上の個体の昨年のようすです。色がやはり全然ちがいますね。

こちらの親魚も今回いっしょに撮影しました。
体後半はご覧いただけるような状況ではありませんので、頭のみの撮影です。
こうして見てみるとなかなかよい感じの頭です。

こんな感じでちょっと横から見てみると、目も肉瘤で塞がることなく一応見えていることがわかります。

こちらの二歳魚は、無事に成長しています。あまり体が大きくなるようなタイプではないと思っていたのですが、意外と大きくなってきています。

10月最初の日曜日、錦友会・中部本部大会を見に浜松へ行ってきましたので、少しだけご紹介いたします。

こちらは、「親魚の部」の東大関を獲得した魚です。

そして、こちらが山田芳人さんが出品された当歳魚です。


2017年9月 当歳らんちゅうの育成

今月の当歳魚たちのようすをお伝えします。
今月始めに山田芳人さんの飼育池を訪問した際、これまで本ブログでご紹介してきた当歳魚の兄弟魚たちが倍くらいのサイズに育っているのを見て、改めて山田芳人さんとの育成技術の(大きな)違いを実感しました。それに加えて、山田芳人さんの育成魚との決定的な相違点は、体や尾びれの「つくり」です。肉瘤の発達具合はともかく、遺伝的にはまったく同じ兄弟魚なのに「つくり」がこれだけ違っているとなると、やはり現在の飼育方法そのものを見直さざるを得ないでしょう。ただ、飼育容器の大きさはスペースの都合で変えることができませんので、何ができるのかこれから来春に向けて考えていきたいと思っています。

8月26日の当歳魚たちのようすです。ちょっと前に撮影したばかりですが、今見るとみんな体の線がまだ細く感じられます。



9月2日の当歳魚たちのようすです。100円硬貨を入れるのを忘れて撮影してしまいました。この日の写真は2点だけです。

そして、現時点で最新の9月9日の当歳魚たちのようすです。サイズは大きくなってきていますが、写真でみると前の週に撮影した当歳魚とあまり違いが感じられません。