2019年1月 らんちゅうの育成

正月休み明けの最初の週、山田芳人さんが来社されました。
じつは、11月3日の大会のおわった後、今年育成した当歳魚たちを山田芳人さんにご覧いただくつもりだったのですが、実物をご覧いただくのは今回が初めてとなりました。
現在の飼育状況などを山田芳人さんにお話しながら、飼育中のらんちゅうをご覧いただきました。いろいろなことをお話させていただきましたが、話題の中心はやはりこちらの退色しないらんちゅうたちのことでした。弊社で育成中のらんちゅうは山田芳人さんからいただいた卵を育成したものですから、同様の表現を持つらんちゅうは山田芳人さんが育成中のらんちゅうたちにも結構出ているそうで、中には下の画像そっくりな個体もいるとのことでした。

山田芳人さんによると、この退色の遅い系統どうしで交配したという方がすでにいらっしゃるそうで、その子の世代では退色の遅くなる傾向がさらに強まる結果が得られているのだそうです。何とも興味深いお話です。このような退色の遅い個体は、比較的最近になってみられるようになったもので、それまではこの系統も一般的ならんちゅうと同じようにふつうに退色する個体ばかりが生まれていたそうです。下の画像は、以前ご紹介した山田芳人さんが育成された色変わりの遅いらんちゅう。

この退色の遅い個体がたくさん出る系統も、孵化後数ヶ月くらいのときには、一般的な系統と比べとくにちがいは見られません。この稚魚の中に上の写真の個体もいるはずですが、どれがそれであるかはわかりません。

そして、ほぼ体型や尾型が決まってくる頃になっても、まだこんな感じでとくに色のちがいは感じられません。

さらにその1か月後になっても、体色はごくふつうのフナのような色のままでした。

それが、さらに1か月ほどするとこのように黒さが増してきました。この写真では撮影のために白い洗面器に入れているので、それほど黒くは感じられない色調に写っていますが、飼育容器で他のらんちゅうたちと泳いでいるときには、輸入の黒らんちゅうか、と思うほどの黒さで思わずはっとさせられます。

暖かくなる頃には、おそらく色変わりが始まってしまうとものと思われますが、水温の低い今の時期はあまり体色の変化はみられません。もうしばらくは黒いままの姿を楽しむことができそうです。