山田芳人さんのらんちゅう飼育 7月

梅雨が明けて本格的な夏が始まるこの時期は、当歳魚たちもらんちゅうらしい姿を見せるようになり飼育に熱が入ってきます。山田芳人さんの飼育している当歳魚も、ほとんどが色変わりを終え、下の写真のような美しい姿となっていました。先月の本ブログにて色変わり前の黒い当歳魚をご紹介しましたが、下の写真はその時撮影した当歳魚といっしょに飼育されていたものです。

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山田芳人さんの飼育するらんちゅうにはいくつかのタイプ(系統)がありますが、この当歳魚はフンタンがとてもよく発達するタイプです。秋までに、頭(かしら)がどのように仕上げられていくのか、本ブログでご紹介していく予定です。

それでは、先月から始めた6個体の成長や変化のようすを毎月追跡してご紹介する企画の2回目をご覧ください。今回も個体解説は山田芳人さんにお願いしました。

① 愛称=モンジ

前回撮影時より色飛びがあります。尾が寂しい感じですが、体形・頭で魅せる仕上げが出来ればと思っています。DSC_7667

② 愛称=もんちゃん

前回撮影時より色飛びがありますが、尾構え良く泳ぎのうまい魚なので、ローカル会入賞を目指し仕上げて行きます。DSC_7681

③ 愛称=夢吉

柄が良く期待している魚ですが、頭の発達がイマイチです。フンタンが膨らんでくれるとイメージアップ。まだまだがんばり仕上げます。DSC_7625

④ 愛称=日の丸兄弟

品評会用としては戦力外ですが、池の中に泳いでいるだけで楽しい魚達です。DSC_7691

⑤ 愛称=頬白腰白

この個体も前回撮影時より色飛びがあります。おもしろい感じで色柄が納まりましたので、これでよしとします。上からまだ舵びれが見えていますが、腹を下げ尾張りが出ると隠すかなとイメージしながら仕上げています。DSC_7583

⑥ 愛称=かんざし更紗

尾張りが弱めでギリギリの感じですが、張り戻った感じがイメージできる魚です。お盆からの色揚げと、秋の尾の張り戻りでローカル会優等を目指し仕上げます。DSC_7637

前回の本ブログの写真でもチラッと見えていたかと思いますが、留守となる昼間の時間帯、山田芳人さんはこのような自動給餌器を使用して人工飼料を与えています。すでに当歳魚にも「星更紗」を与えていますが、ケースの中をよく見ると「星更紗」といっしょに色のちがう粒の小さな餌も混ざっています。何かを確かめるため試験的に与えているのかもしれません。DSC_7731

「星更紗」の粒のサイズは、当歳魚にはちょっと大きすぎるように感じられますが、このくらいの当歳魚でも案外ふつうに食べることができるようです。

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こちらは昨年の大会(第57回日本らんちう協会全国品評大会)で親魚之部・一等賞 東関脇(第6位)を受賞したらんちゅうです。金魚すくいで使用するような容器で何気なく飼育されていますが、一回りも二回りも太みを増し見事な姿になっています。このらんちゅうの大きさを実感してもらうため、山田芳人さんに手で持ってもらい撮影しましたがいかがでしょう? 品評会でも一般的にはなかなか横から見ることはありませんので、これはなかなか貴重な写真だと思います。それにしてもとてもきれいな背なりのらんちゅうです。機会があれば、ガラス水槽に泳がせてストロボを使用した本格的な撮影に挑戦してみたいと思います(お許しがあれば、ですが…)。DSC_7713

こちらは同じらんちゅうを上から見たところです。写真では、このらんちゅうの迫力をうまくお伝えできないのが残念です。

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そして、今回最後にご紹介するのはこちらの更紗の二歳魚です。よく発達した特徴的な頭をもつこの更紗は、らんちゅう愛好家の方から譲り受けたものだそうです。現在は、訳あってちょっと小さめな相方とペアで暮らしています。腰の部分に泡が写ってしまいましたが、洗面器に入るとすぐにポーズを決めてくれて、とても撮影しやすいらんちゅうでした。山田芳人さんによると、「本当に良い魚は、誰が撮影してもかっこよく写るんですよ」とのこと。まさにその言葉通りのらんちゅうです。

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今回で2回目となる当歳魚の成長と変化を追う「追跡シリーズ」はいかがでしたでしょうか? 前回の写真と見比べて、どこがちがっているか見てみてください。それでは、次回もお楽しみに。