山田芳人さんのらんちゅう飼育 6月

この訪問も今回で3回目となりますが、見るたびらんちゅうたちはどんどん大きく成長しています。
飼育者ですら毎日見ていても大きくなるのがわかる、というほどですから、一か月もすれば誰の目にも大きく成長しているのがわかるわけです。DSC_7403

さて、山田芳人さんの飼育池の当歳魚たちも、色やかたちなど個体を識別する特徴が出てきました。そこで、秋の品評会に向け「これならいける」というらんちゅうを山田芳人さん自身に選んでいただき、それらの成長や変化のようすを毎月追跡してご報告していくことにしました。
選んでいただいたらんちゅうには、このブログ用にそれぞれ愛称をつけてもらいました。今回は山田芳人さん自身に個体解説をお願いしましたので、らんちゅうの画像と併せてご覧ください。

① 愛称=モンジ

尾張りの良い魚で将来楽しみにしている魚です。トメが甘い気が…。これ以上尾筒が伸びないよう飼育できればと思っています。DSC_7204

② 愛称=もんちゃん 

この魚も尾張りの良い魚です。これ以上体の赤色が飛ばなければ、と思っています。このまま色が落ち着き、体調良くいけば品評会用の魚に仕上がりそうです。DSC_7248

③ 愛称=夢吉

おもしろい更紗で、要所には赤を残しています。今現在、頭の目先が先細りしていますが、これが横に広がり幅が出ると良くなります。尾張りは弱い感じですが、親骨が出る位置は申し分ありません。尾形がありますので、水温の下がる秋頃の張り戻しを期待します。かなり期待している魚です。DSC_7259

④ 愛称=日の丸兄弟

丹頂模様で見ているだけでも飽きません。鑑賞価値のあるマスコット的存在です。DSC_7310

⑤ 愛称=頬白腰白

全体的にまとまっている魚ですが、舵びれが上から見えています。品評会ではこれが大きな減点となります。腹形を下げ、舵びれが見えないよう仕上がってくれると吉です。
DSC_7323

⑥ 愛称=かんざし更紗

頭、尾形、体型、いずれもかなり気に入っている魚です。柄が少し損をしているのと、今現在尾張りが弱めです。秋の張り戻しでバチっとキマリそうです。DSC_7359

今回の取材中、水が古くなって餌の食いが悪くなってきている池をみかけると、山田芳人さんはすぐに水換えを始めることが何回かありました。ただ、水換えに要する時間は本当にごく短時間ですので、そのようすをご紹介します。

まず、飼育池かららんちゅうたちを網ですくって洗面器へ移すのですが、山田芳人さんはよく熱帯魚用として売られている、いわゆる「フィッシュネット」を使って豪快にじゃぶじゃぶとすくっていきます。
DSC_7493

らんちゅうを飼育されている方がみたらちょっと驚いてしまうかもしれませんが、「ヒレが切れたり、傷んだりする? そんなのは気にしませんよ。」とのこと。きっと、これが一番手早くらんちゅうをすくい上げることのできる方法なのでしょう。DSC_7497

洗面器に入れられたらんちゅうたちは、その中をぐるぐるとまわるように元気よく泳いでいます。洗面器の中は水量が少なく酸欠をおこす心配がありますので、短時間とはいえこのようにエアーを送ります。DSC_7419

次に、飼育池の栓をはずし、水がなくなったら飼育池の底や壁面についたコケをブラシでこすって落とします。そして、水で汚れを流したら、汲み置いた新しい水を飼育池に入れます。DSC_7488

水は、この太いパイプからものすごい勢いで出てきますので、5分もあれば飼育池いっぱいに水を張ることができるのです。DSC_7487

そして、洗面器のらんちゅうたちは水の新しくなった飼育池へ戻されます。このとき、少しずつ新しい水に慣らして…、という作業はいっさい行われず、ふつうにさっと洗面器から流れ出すような感じで飼育池に戻します。DSC_7489

水が新しくなって気持ちよさそうに泳いでいます。ひとつの飼育池の水換えに要する時間は、ぜんぶでせいぜい10分といったところです。DSC_7492

ちなみに、色変わり前のこのらんちゅうたちをアップで見てみると、こんな感じなのです。 すでに頭は将来を予感させる形になってきており、らんちゅう好きの方にはたまらない魅力的ならんちゅうが飼育されています。DSC_7384

今回最後の写真は、毎度おなじみ浮上性の餌「星更紗」を食べる二歳魚たちです。
「本当に浮上性の餌をあげてるの?」という声もあるようですが、山田芳人さんが浮上性の餌で数多くの良魚を育成しているのは間違いのないことなのです。DSC_7442

今回のブログでご紹介した当歳魚たちは、どんなふうに仕上がっていくのでしょうか?
次回は、その成長した姿をご紹介する予定です。では、次回もお楽しみに。