山田芳人さんのらんちゅう飼育 5月

早いもので、前回の訪問から一か月以上が過ぎてしまいました。当歳魚の成長のようすを紹介する期間としては、ちょっと間が空きすぎなのですが、前回のブログで予告したとおり今回は当歳魚のようすをご紹介します。

まずは、一番大きな当歳魚です。訪問時で生後約45日、大きさは約40ミリ(全長)ほどに成長していました。すでに、肉瘤も発達してきており、一部の個体ではすでに色変わり(退色)も始まってきていました。「この時期(サイズ)の当歳魚は、泳がせる量をコントロールしてやらないと、尾筒の伸びた不細工な体型のらんちゅうに育ってしまうので、とくに注意が必要です」と、山田芳人さん。理想的ならんちゅうに育て上げるためには、こうした細かな配慮が重要となってくるようです。DSC_017100

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つぎにご紹介するのは、生後約35日の当歳魚です。先ほどの当歳魚と孵化日は10日ほどしかちがわないのですが、こちらはまだ肉瘤はあまり発達してきていません。わずか数日のちがいでも、姿かたちの変化するようすがわかるのがこの時期のらんちゅうなのです。DSC_017141

孵化から1週間ほどの稚魚もいました。まだ10ミリにも満たない大きさですが、すでに尾開きの良否判断は可能だといいます。この日の朝に近所で採集してきたミジンコが与えられていました。ブラインシュリンプよりもミジンコの方が稚魚の成長は良いようです。DSC_017099

温室の外には二歳魚の泳ぐたたき池があります。山田芳人さんがらんちゅうに与える人工飼料は浮上性の餌のみです。らんちゅうには沈下性の餌を与えないと良いらんちゅうに育てることはできないのでは? と、思っている方も少なくないようです。しかし、山田芳人さんは浮上性の餌を与えることで、これまでに数多くの見事ならんちゅうを育成してきています。DSC_017152この時期の当歳魚には、さすがに粒が大きすぎて食べさせられませんが、二歳魚以上のらんちゅうたちはみんな星更紗をとてもよく食べていました。DSC_017154DSC_017187

最後に二歳魚を2尾ご紹介します。どちらも昨年発売された金魚専門の雑誌「金魚伝承・第23号」に掲載された個体ですが、黄頭のらんちゅうは雑誌発売直後には多くの人からゆずってほしいとの申し出があったそうです。品評会向けのらんちゅうではありませんが、山田芳人さんのお気に入りのらんちゅうです。DSC_017172 DSC_017170