当歳らんちゅうの育成 その12

今回は、前回の予告どおり、「当歳らんちゅうの育成」シリーズの総集編として今シーズンに育成した当歳魚を山田芳人さんに順位をつけていただきました。

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山田芳人さんに、まだ生後1ヶ月ちょっとだった青仔を分けていただいたのが5月下旬。それから5カ月、何とか一度も調子を崩すことなく育成することができました。飼育を始めた当初の目標は、「山田芳人さんの育成する兄弟魚たちにちかいサイズに育てる」ということでした。
これについて、山田芳人さんに「サイズ、どうでしょうか?」と尋ねると、「うちよりも大きいくらいですよ」とのこと。どうやら、この目標は達成できたようです。
しかし、喜んでばかりはいられません。らんちゅうは大きく育てるだけでは意味がありません。かんじんなのは、「らんちゅうとしてどうか?」ということです。じつは、そこがいちばん難しいところで、今回らんちゅうを育成してみてその点を実感することになりました。
山田芳人さんに順位をつけて頂いた個体に、それぞれ感想と山田芳人さんのコメントをあわせてご紹介します。

第1位 オス 約13センチ

山田芳人さん:
「頭、尾型、背腰とも良いです。品評会に出品することも可能なレベルの個体です。」

正直いって、色変わりするまでほとんどノーマークだった個体です。よって、色変わり前の姿はよくわかりません。育成を初めてしばらくは、小さいサイズのグループで育成していた個体ですが、いつの間にかこのサイズに追いついてきました。尾のつく位置がやや低いと感じていましたが、そうでもなかったようです。
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第2位 メス 約13センチ

山田芳人さん:
「頭、背腰も良いです。鱗並びがきれいな個体です。」

じつは、この個体がもっとも「良い仕上がりの期待される個体」です。私の力不足によって、この個体が本来もっている良さを引き出すことができず残念な結果となってしまいました。
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第3位 メス 約13センチ

山田芳人さん:
「頭の良い個体です。幅もあり、尾の張り具合も良いです。」

この個体は、色変わり前から尾の張りが印象的だったのでよく撮影しています。張りが強い分、泳ぎにクセがあったことで目につくことが多かったのかもしれません。きれいな柄の更紗になったら、と期待しましたが、結局白になってしまったことは以前本ブログにてご紹介しました。
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第4位 オス 約12.5センチ

山田芳人さん:
「頭、鱗並びの良い個体です。背中の柄が特徴的で面白いです。」

比較的早い時期から頭が発達してきた個体です。尾は物足りませんが、全体的にはクセが少なく、体のラインがきれいなのがこの個体のよい点だと思います。
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第5位 オス 13.5センチ

山田芳人さん:
「よく発達したこのフンタンは、独特な金平糖のような質感があります。全体のバランスが良い個体です。」

今回育成した中では、現在もっとも大きく育っている個体です。ご覧いただいたとおり、尾の左右のバランスはとれていないのですが、頭から、体にかけての全体的な印象は悪くないと思います。尾は今後も改善されることはないでしょうが、それなりに魅力のある個体です。
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以上、今回育成した当歳魚の上位5個体のご紹介でした。

さて、それではここからは山田芳人さん自身の育成された「兄弟魚」をご覧いただきます。写真は山田芳人さんから送っていただきました。
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以上の4点は、山田芳人さん自身が育成、撮影された個体です。
兄弟なので体型などは似ているのですが、やはり全体的な雰囲気はちがっているように感じられます。4番目の素赤の個体のフンタン、何だかとんでもないことになっています。ほんとうに見事です。

さて、「当歳らんちゅうの育成」と題して12回にわたってご紹介してきましたが、今回でこのシリーズはひとまず終えたいと思います。次回は、金魚の品評会の結果をご紹介する予定です。